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由利郡大内町佛像調査(1)

齋藤 雅幸 平成8年2月23日
由利郡大内町佛像調査(1)

1)聖観音菩薩

2)地蔵菩薩

3)十一面千手観音菩薩

4)太子像?

 1)聖観世音菩薩

       総高さ 6尺1寸5分 1860o
       身丈  3尺4寸   1030o
       巾   1尺4寸    425o
       一木造り(蓮華・反花まで)杉材
       岩座・下框(雲彫り)



像容

 一見して、地方作と見受けられます。下台・本尊共に杉材を使用した一木造りで、本尊の特徴としては、躰部と頭部は別材で彫刻し後で差し込んであります。ただこの嵌入の仕方はちょっと特殊なの方法で、彫り込みが深くなく、ほんの少し御首(みぐし)を差し込んで固定していました。また身丈が違うのに、総高さが同じで全体像を見ますと多少バランスに欠けているところがあります。像全体に胡粉下地をを施し、剥落した後に彩色の後も見受けられます。蓮華座・反花には金箔を押した後も見受けられますが、金箔が変色しております。なお天冠台・水瓶には本金箔が残っており、後世になってから尊像に金箔の張り替えをしたのかも知れません。岩座には彩色した後がはっきり残っています。

2)地蔵菩薩

     
      総高さ 6尺1寸5分 1860o
      身丈  4尺1寸5分 1247o
       巾   1尺6寸5分  500o
      一木造り(蓮華・反花まで)杉材
      岩座・下框(雲彫り)

像容
この像は、身丈は異なりますが、上述の観音像と同時期同一作者によって造られと思われます。御首の挿入の仕方、一木造り台座の制作方法等多くの共通点が見受けられます。観音像と同じように胡粉下地に、金箔を押し、極彩色仕上げをしていますが、彩色は現在でもかなりよく残っており、彩色に手慣れた人の仕事に見えました。地方作ではありますが各部の彫り出し方、手の位置など修行した佛師の作と思われす。


3)十一面千手観音菩薩

                              総高さ  1尺4寸5分 440o
                              頭頂まで 1尺2寸1分 367o
                              身丈   1尺2寸   363o

像容
 千手観音は千手千眼観音観音といわれるようにあまねく衆生に優しい救いの手を差しのべ、そして手にもついている千の目で、十一通りに娑婆世界を見つめています。古い時代から大変信仰のあった佛様です。この像は、檜材・寄せ木造り。右手一本欠損。玉眼なし。背中部分に納経用のくりがあありますが、経文又は願を掛けた人達の願文が入れられたものと思います。時代は比較的近年のものと思います。中央系の作と見受けました。

      



4)
太子像?

         身丈   3寸  90o
         檜材・一木造り
         極彩色(下部は金箔の上に彩色)
    

像容


中央系の腕の良い佛師によって造られたと思われる、小さいながら大変美しい瀟洒な像です。聖徳太子像は、古い時代から大変信仰がされており、この像も元来は厨子に入れられ大切に拝されていたものと思われます。

以 上


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